預貯金だけ見て安心していませんか?老後前に確認したい「家を含めた資産額」

退職後の生活を考えるとき、預貯金、年金、保険、投資商品の残高は確認していても、持ち家の現在価値まで把握している人は多くありません。購入時の価格や固定資産税評価額をそのまま資産額と考えるのではなく、住宅ローン残高や維持費も含めて整理すると、老後に選べる暮らし方が見えやすくなります。
50代、60代になると、これからの生活について考える機会が増えます。何歳まで働くのか。年金はいくら受け取れるのか。医療費や介護費にどの程度備えるのか。子どもに負担をかけずに暮らせるのか。
通帳や保険証券を並べ、資産額を計算した経験がある人もいるでしょう。しかし、その一覧に「自宅」を入れようとすると、手が止まりやすくなります。
家は売る予定がないから、資産として考えなくてもよい。購入したときの金額は覚えている。固定資産税の通知書に評価額が書かれている。そう考えて、現在の市場価値を確認しないまま老後計画を作るケースがあります。
もちろん、住み続ける家は毎日の生活を支える大切な基盤です。ただし、将来の住み替え、介護施設への入居、住宅ローンの整理、相続準備などを考えるとき、持ち家が現在どの程度の価値を持つのかは重要な判断材料になります。
老後資金の棚卸しで、自宅だけが空欄になっていませんか
資産整理というと、預貯金や有価証券を一覧にすることを想像しがちです。これらは通帳や残高報告書を見れば、基準日時点の金額を確認できます。
一方、不動産は通帳のように残高が表示されません。購入価格、住宅ローン残高、固定資産税評価額、実際に売却できそうな価格が、それぞれ異なるためです。
購入価格は、現在の価値とは限らない
新築で購入した住宅でも、築年数が経過すれば建物の評価は変わります。地域の人口や交通利便性、再開発、周辺の取引状況によって、土地やマンションの需要も変化します。
購入時より価格が下がっている物件もあれば、地域の相場上昇によって、購入時の想定とは異なる価値が付く物件もあります。20年前、30年前の購入価格だけを見て、現在の資産額を判断することはできません。
固定資産税評価額と売却価格も目的が違う
固定資産税の通知書に記載される評価額は、固定資産税などを計算するための基準です。実際に市場で売買される価格と同じものではありません。
相続税評価、固定資産税評価、市場価格など、不動産には目的の異なる価格があります。老後資金の選択肢を考えるためには、「今売るとしたら、どの程度の価格が見込まれるか」という市場での見立てを確認する必要があります。
家の価値を知らないと、老後の選択肢を比べにくい
今の家に一生住み続けるつもりでも、将来の状況が予定どおりになるとは限りません。階段の上り下りが負担になる、庭の手入れが難しくなる、車を手放して駅や病院に近い場所へ移りたくなる、といった変化が考えられます。
夫婦二人で暮らしていた家に一人で住むことになる場合や、子どもの近くへ移る場合もあります。介護サービスを利用しやすい住宅や高齢者向け住宅を検討することもあるでしょう。
こうした選択肢を比べるとき、持ち家の価値がわかれば、住み替え資金としてどの程度使えそうかを考えられます。反対に、想定より価値が低いとわかれば、早めに貯蓄計画や修繕計画を見直せます。
売らない場合にも、価値を知る意味がある
査定を受けることは、売却を決めることではありません。現在価値を確認した結果、「この家で暮らし続ける」という結論になることもあります。
価値を知ったうえで住み続けるのと、何も確認せず住み続けるのでは、将来への備えが変わります。資産価値に対して大きすぎる修繕を行わないか、相続時に家族が扱いやすい物件か、売却に時間がかかりそうかなど、早めに検討できます。
家を含めた資産整理では「資産」と「負債」を分ける
持ち家の査定額が3000万円だから、自分には3000万円の不動産資産がある。必ずしもそうとは限りません。住宅ローンが残っている場合は、その残高を差し引いて考える必要があります。
また、実際に売却するときには仲介手数料、登記関係の費用、引っ越し費用などが発生します。税金が関係する場合もあります。
売却予定がなくても、この考え方で整理すると、持ち家が家計全体の中でどのような位置にあるかを把握しやすくなります。
一覧にしたい資産と負債
- 預貯金
- 株式、投資信託、債券など
- 解約返戻金がある保険など
- 退職金の見込み
- 自宅や所有不動産の現在価値
負債・将来負担として確認するもの
- 住宅ローンやその他の借入残高
- 固定資産税、管理費、修繕積立金
- 今後必要になりそうな住宅修繕費
- 売却や住み替えをする場合の費用
年金の受給見込みや毎月の生活費も合わせて確認すれば、老後の収支をより具体的に考えられます。ただし、将来の市場価格や生活費を正確に予測することはできません。定期的に数字を更新し、変化に合わせて計画を見直すことが大切です。

維持費と修繕費を見落とすと、資産が家計の負担になることも
持ち家には家賃がかからないから、老後の住居費は低く抑えられる。これは持ち家の大きな利点です。一方で、固定資産税、保険料、管理費、修繕積立金、設備交換などの負担は続きます。
戸建てでは屋根、外壁、給湯器、水回りなど、まとまった修繕費が発生することがあります。マンションでは毎月の管理費や修繕積立金に加え、計画や建物の状況によって負担が変わる可能性があります。
退職後に大きな修繕が必要になると、預貯金を取り崩すことになります。現在の建物状態、今後必要になりそうな修繕、年間の維持費を整理しておくと、「この家に住み続けるために必要な資金」を計画に入れられます。
広い家を維持すること自体が負担になる場合もある
子どもが独立した後、使っていない部屋が増える家庭もあります。掃除、庭の手入れ、階段の移動、防犯など、金額に表れにくい負担もあります。
そのまま暮らす、家を小さくする、利便性の高い地域へ移る。どの選択にも長所と短所があります。家の価値がわかれば、住み替えが現実的かどうかを数字で比較しやすくなります。
資産一覧を作っても、不動産だけ自分では金額を出しにくい
資産と負債を一覧にすればよいとわかっても、不動産の現在価値だけは自分で正確に記入しにくいものです。インターネットで近隣の売り出し物件を見ても、その価格で実際に売れたとは限りません。
同じマンションでも階数、方角、広さ、室内状態によって価格は変わります。戸建てでは接道状況、土地の形、建物状態、リフォーム履歴なども関係します。
不動産会社に相談すると、売らなければならない気がする
家の価値を知りたくても、「まだ売る予定がないのに査定を頼んでよいのか」「営業を受けたら断りにくい」とためらう人もいます。
資産整理のための査定は、売却契約とは別です。査定を受けた後で、当面住み続けると決めても構いません。依頼時に「老後の資産整理として相場を確認したい」「売却時期は未定」と目的を伝えると、前提を共有しやすくなります。
1社だけの査定では、判断材料が足りないことがある
不動産会社によって、得意な地域、物件種別、査定に使う取引事例、販売方法が異なります。同じ物件でも査定額に差が出ることがあります。
最も高い査定額だけを資産一覧に記入すると、実際にはその価格で売却できない可能性があります。一方、1社の低い査定だけで将来計画を作ると、本来の選択肢を狭めるかもしれません。
複数社の査定額と価格の根拠を比較し、現実的な価格帯を把握することが、資産整理では重要です。
売る予定がなくても、「今の価値を確認する」ことから始められる
老後の暮らし方を今すぐ決める必要はありません。住み替えるか、今の家で暮らし続けるかは、家族構成、健康状態、地域とのつながりによって変わります。
しかし、現在の数字を確認することはできます。預貯金、年金、保険、住宅ローン、維持費、そして家の現在価値を一度並べれば、自分の資産全体を見渡せます。
家の価値が想定より高ければ、住み替えや老後資金の選択肢が広がるかもしれません。想定より低ければ、修繕費や生活費の備えを早めに見直せます。どちらの結果でも、知らないままより計画を立てやすくなります。

複数社へ無料査定を依頼できる「イエウール」
ここで選択肢になるのが、不動産一括査定サービスの「イエウール」です。物件情報をインターネットで入力し、条件に合う不動産会社へ査定を依頼できます。
イエウールの公式サイトでは、全国2000社以上の不動産会社と提携し、最大6社へ完全無料で査定依頼できると案内されています。大手だけでなく、地域密着型の不動産会社も含まれています。
複数社の価格と根拠を比較できる
資産整理では、できるだけ高い数字を見つけることより、現実的な価格帯を把握することが重要です。複数社へ依頼すれば、査定額だけでなく、なぜその価格になるのか、周辺ではどのような取引があるのかを比較できます。
査定額に大きな差がある場合は、各社へ根拠を確認しましょう。短期間で売る場合の価格、時間をかけて売る場合の価格など、条件を分けて聞く方法もあります。
一括査定の利用料は無料
イエウールの一括査定自体は無料です。査定後に売却を見送ることもできます。売却を依頼し、売買が成立した場合には仲介手数料などが発生するため、具体的な契約前に費用を確認してください。
売る予定が決まっていない場合は、依頼の目的と希望する連絡方法を伝えましょう。査定結果は将来の売却価格を保証するものではないため、老後計画では余裕を持った金額で考えることも大切です。
- 査定額の根拠となった周辺の取引事例
- 建物と土地をどのように評価しているか
- 売り出し価格と成約見込み価格の違い
- 想定される売却期間
- 売却時に必要となる費用
- 今後、資産価値へ影響しそうな地域事情
預貯金と家を一緒に見れば、老後の選択肢が具体的になる
持ち家は、暮らす場所であると同時に、大きな資産でもあります。売る予定がないからと資産整理から外してしまうと、老後の選択肢を正しく比べにくくなります。
まずは預貯金や保険と同じように、持ち家にも現在時点の目安を書き入れてみてください。その際は、査定額だけでなく住宅ローン残高、売却費用、維持費、修繕費も合わせて確認します。
家の価値を確認しても、売却を急ぐ必要はありません。今の家に住み続ける、将来住み替える、家族へ残すなど、数字を見たうえで自分に合う選択を考えられます。
老後の計画は、一度作って終わりではありません。生活や市場の変化に合わせて、定期的に見直すものです。まずは現在の家の価値を確認し、資産全体の棚卸しを始めてみてください。
※査定額は不動産会社による見立てであり、実際の売却価格を保証するものではありません。本記事は一般的な情報であり、金融・税務・法律上の個別助言ではありません。老後資金、相続、税金、住宅ローンについては、必要に応じて金融機関、ファイナンシャルプランナー、税理士、弁護士、司法書士などへご相談ください。